Feb 01, 2017 絵本コラム

[絵本20]やさしい気持ちは、あったかい。

『フワフワさんは けいとやさん』 樋勝朋巳 著
福音館書店

こんにちは。久保です。
1月の広島は数十年ぶりの大雪でした。
寒い中、雪を見たくて外出しましたが
混乱する交通や街角よりも、
ぼくの興味をひいたのがあちこちで見かける「雪だるま」。
これだけたくさんの「雪だるま」を広島で見たのは初めてでした。
「せっかくの雪を楽しもう」とした人たちがたくさんいたんでしょうね。
なんだか、ほっこりとした気持ちになりました。

さて、暖かくなったり、寒くなったりと。
今年の寒波はあなどれませんね。
2月に入りましたが、まだまだ寒い日々は続きそうです。
みなさまお気を付けください。

さて、そんな冬の毎日には「ニット」が活躍します。
そういえば「ニット」っていつごろから言い始めたんですかね。
子どもの頃は「ニット帽」ではなくて「毛糸帽」って呼んでいた気がします。
「毛糸帽」と「とっくりセーター」「コールテン」のズボン…という時代が懐かしい。
街から「毛糸やさん」も見かけなくなりましたね…。

今回ご紹介する絵本の主人公は
「毛糸やさん」で働いている「フワフワ」さん。
見てください。あったかそうな「毛糸」というか「ニット」をかぶっています。
そして、今もなにかを毛糸から生み出そうと、編み物をしていますね。

[絵本]フワフワさんは けいとやさん1

さて、どんな「あったかい」お話しが待っているのでしょう。
期待して、本の表紙を開くと、こんな絵が。
いわゆる本の「見返し」という、本の強度を高めるために
紙どうしを接着するページが、たくさんの「ニット」製品でいっぱいです。

手袋、帽子、マフラー、セーター、タイツ、くつした…。
どれもカラフルであったかそう。

[絵本]フワフワさんは けいとやさん2

フワフワさんは
「毛糸」が大好きで「編み物」が得意です。
いつもフワフワしたニットを着ています。
そして「毛糸やさん」で働いています。

「毛糸やさん」には、いろんなお客さんがやってきます。
これは「インコ」のぼうしを買いにきた
お客さんのシーン。
お店のなかの「毛糸」や「商品」、
そして、お客さんも、どれもがカラフルでかわいいですね。
こんなシーンがいくつか続くので、
カラフルでリズミカルにお話しが流れていきます。

[絵本]フワフワさんは けいとやさん3

以外なのは、後半の展開です。
お店では「あみものきょうしつ」がはじまろうとしています。
ふたりのおきゃくさんが、毛糸であみものをしながら
フワフワさんのアドバイスを聞いています。

そのとき、帽子を注文していたお客さんが来店します。
できあがった帽子を試着してもらうと、
あららサイズが合わない・・・。

「すぐ なおします」
慌てて、一生懸命に帽子を修正するフワフワさん。
それを見守る生徒たち。

[絵本]フワフワさんは けいとやさん4

急なトラブルなんて
実生活では、当たり前のようによくある風景ですが
(むしろ、大人の世界はトラブルの連続ですよね^^)

「絵本」の世界で、
お話しの途中に予想外のトラブルが起こるなんて
ちょっとビックリの展開です。

そして、最後には「ほんわか」する結末が待っています。
ほんわかして、あったかい。そんなやさしい結末です。

「人を想うやさしい気持ちは、必ず伝わる」
そんなことを考えさせてくれる一冊です。
そしてまた、「はたらく」ことの一面を
子どもたちに教えてくれるお話しでもあるかもしれません。

後半の展開を、子どもたちがどう思うかも
ちょっと楽しみになる絵本だと思います。
絵も素敵ですので、
寒い日の読み聞かせに、あったかい時間をどうぞ。

[絵本]フワフワさんは けいとやさん4

追伸
年末年始は、東欧のハンガリーを旅しました。
歴史ある街並みを歩いていましたら
こんな本屋さんを見つけました。

[絵本]フワフワさんは けいとやさん4

なんと移動式古書店です。
夜になると、扉が閉まって閉店になります。
お値段は一冊120 円ぐらい(2017 年1月現在のレート)です。

日本にもこんな本屋さんがあったらなぁ。
氷点下の街角で、
ちょっとホッとする光景でした。
もちろん、たくさん本を買いました(笑)

Feb 01, 2017 絵本コラム