Jun 01, 2016 絵本コラム

[絵本12]雨の日の「おむかえ」はドキドキするね

『かさもって おむかえ』
征矢 清 文
長 新太 絵
福音館書店

[絵本]かさもって おむかえ画像1

こんにちは。久保です。

6月といえば梅雨の季節。
じめじめして、いやな季節ですが
農作物や草花など、成長する植物たちにとっては大切な時期です。
雨ばかりの毎日をちょっとだけ楽しくする、
そんな絵本『かさもって おむかえ』をご紹介します。

[絵本]かさもって おむかえ画像1

雨の日に、お子さんがドキドキしながら傘を持って
お父さんを駅へ「おむかえ」に行くというテーマでは
太田宗八さんの『かさ』という名作絵本もあります。
そちらは、文字を排し、モノクロの世界に赤い傘の動きで
慣れない駅への道すがらの心細さを表現するという
素敵な作品でしたが(機会があればこちらも読んでみてください)、
この『かさもって おむかえ』は 、色彩も豊かで
どうぶつたちも登場する楽しい作品です。

1969年に発行されたロングセラー絵本なので
子どもの頃に読んだ記憶があるお母さん・お父さんもいらっしゃるかも。
人気の高い長新太さんが絵を担当し『ガラスのうま』などの児童文学で有名な
征矢(そや)清さんが文章を書いています。

[絵本]かさもって おむかえ画像1

主人公は、おかっぱの女の子「かおる」ちゃん。
自作(?)の「あめふりのうた」を口ずさみながら
駅のホームでお父さんが降りてくるのを待っています。
お父さんの大きな傘をぎゅっと握りしめています。

今のように携帯電話やLINEなどがない時代の「おむかえ」は、
相手がいつ降りてくるのかがわかりません。
ただひたすら、じっと待つしかありませんでした。
みなさんもそんな思い出をお持ちではないでしょうか?

ぼくも小さい頃、父の会社の正門前の交差点で
じっと父を待っていた経験があります。

門から出てくる集団が見えるたびに
「お父さんはどこかな?」と探すのですが
なかなか見つかりません。
最初ははりきって、じっと人々の顔を見ているのですが
何度も集団を見送り時間が経っていくと
だんだんそれにも飽きて
「本当に合えるのかな?」と不安になったものです。

この絵本の「かおるちゃん」も
電車を6台、7台見送った後、
待ちくたびれてベンチに座りました。
すっかり日が暮れて
ホームにはだれもいなくなりました。

すると、オレンジ色のトラねこがやってきて、
「お父さんの乗り換えの駅まで行こう」と誘います。
ドキドキしながら「かおる」がねこについていくと
そこには、いつもの電車とは違う緑色の車両。
おそるおそる乗り込むとたくさんのどうぶつたちが・・・。
謎のどうぶつ専用列車でお父さんのいる駅へ向かうのでした。

[絵本]かさもって おむかえ画像1

最後には、ちゃんとお父さんと会えるのですが、
「おむかえ」を通して、
ドキドキしたり、ハラハラしたり、
そんな疑似体験を、
読み聞かせで感じてもらえる絵本だと思います。

カラフルな色彩や、主人公や人の描写を控えめにした絵も
イマジネーションを広げてくれるでしょう。

梅雨の季節、楽しい時間を絵本といっしょにお過ごしください。

[絵本]かさもって おむかえ画像1

Jun 01, 2016 絵本コラム