
『かさもって おむかえ』
征矢 清 文
長 新太 絵
福音館書店
![[絵本]かさもって おむかえ画像1](https://img05.shop-pro.jp/PA01313/899/etc/ehon_201606-01.jpg?cmsp_timestamp=202808105610)
こんにちは。久保です。
6月といえば梅雨の季節。
じめじめして、いやな季節ですが
農作物や草花など、成長する植物たちにとっては大切な時期です。
雨ばかりの毎日をちょっとだけ楽しくする、
そんな絵本『かさもって おむかえ』をご紹介します。
![[絵本]かさもって おむかえ画像1](https://img05.shop-pro.jp/PA01313/899/etc/ehon_201606-02.jpg?cmsp_timestamp=202808105621)
雨の日に、お子さんがドキドキしながら傘を持って
お父さんを駅へ「おむかえ」に行くというテーマでは
太田宗八さんの『かさ』という名作絵本もあります。
そちらは、文字を排し、モノクロの世界に赤い傘の動きで
慣れない駅への道すがらの心細さを表現するという
素敵な作品でしたが(機会があればこちらも読んでみてください)、
この『かさもって おむかえ』は 、色彩も豊かで
どうぶつたちも登場する楽しい作品です。
1969年に発行されたロングセラー絵本なので
子どもの頃に読んだ記憶があるお母さん・お父さんもいらっしゃるかも。
人気の高い長新太さんが絵を担当し『ガラスのうま』などの児童文学で有名な
征矢(そや)清さんが文章を書いています。
![[絵本]かさもって おむかえ画像1](https://img05.shop-pro.jp/PA01313/899/etc/ehon_201606-03.jpg?cmsp_timestamp=202808105629)
主人公は、おかっぱの女の子「かおる」ちゃん。
自作(?)の「あめふりのうた」を口ずさみながら
駅のホームでお父さんが降りてくるのを待っています。
お父さんの大きな傘をぎゅっと握りしめています。
今のように携帯電話やLINEなどがない時代の「おむかえ」は、
相手がいつ降りてくるのかがわかりません。
ただひたすら、じっと待つしかありませんでした。
みなさんもそんな思い出をお持ちではないでしょうか?
ぼくも小さい頃、父の会社の正門前の交差点で
じっと父を待っていた経験があります。
門から出てくる集団が見えるたびに
「お父さんはどこかな?」と探すのですが
なかなか見つかりません。
最初ははりきって、じっと人々の顔を見ているのですが
何度も集団を見送り時間が経っていくと
だんだんそれにも飽きて
「本当に合えるのかな?」と不安になったものです。
この絵本の「かおるちゃん」も
電車を6台、7台見送った後、
待ちくたびれてベンチに座りました。
すっかり日が暮れて
ホームにはだれもいなくなりました。
すると、オレンジ色のトラねこがやってきて、
「お父さんの乗り換えの駅まで行こう」と誘います。
ドキドキしながら「かおる」がねこについていくと
そこには、いつもの電車とは違う緑色の車両。
おそるおそる乗り込むとたくさんのどうぶつたちが・・・。
謎のどうぶつ専用列車でお父さんのいる駅へ向かうのでした。
![[絵本]かさもって おむかえ画像1](https://img05.shop-pro.jp/PA01313/899/etc/ehon_201606-04.jpg?cmsp_timestamp=202808105640)
最後には、ちゃんとお父さんと会えるのですが、
「おむかえ」を通して、
ドキドキしたり、ハラハラしたり、
そんな疑似体験を、
読み聞かせで感じてもらえる絵本だと思います。
カラフルな色彩や、主人公や人の描写を控えめにした絵も
イマジネーションを広げてくれるでしょう。
梅雨の季節、楽しい時間を絵本といっしょにお過ごしください。
![[絵本]かさもって おむかえ画像1](https://img05.shop-pro.jp/PA01313/899/etc/ehon_201606-05.jpg?cmsp_timestamp=202808105648)
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