May 10, 2021 絵本コラム

[絵本コラム]ぼくは、かいぶつになりたくないのに

『ぼくは、かいぶつになりたくないのに』
絵 こうき
文 中村うさぎ
日本評論社

ど〜も〜
絵本をジャケ買いしてみましたら
想像以上に突き刺さりまくる
今、皆が考えるべき問題がてんこもりの絵本でございました。

 

この絵本を子供が読んだとき、どのような感想をいただくのか
全く想像できませんが、、、

 

この絵本の主人公の「僕」と
同じ悩みを持つ子
には、ぜひとも読んでいただきたい一冊だということは間違えありません。

 

この主人公の僕は、この本の絵をかいている
こうき君自身でありまして、
彼の半生を描いた絵本となっております。

 

こうき君の悲痛な叫びが絵に表現される

 

 

 

怪物になりたくないのに、ならざるを得なかった
こうき君の悲痛な叫びが

彼の絵からビシビシ伝わってきます。

 

母からの虐待、学校でのいじめ、友達の裏切り
もしかして自分が人間じゃ無いからこんなに嫌われるのだろうか?

 

それでも愛されたいと、もがき苦しむ彼に
追い討ちをかけるような事実が判明します。

 

こうき君は、男の子が好きな男の子だったのです。

 

やっぱり、自分はみんなと違う生き物だったんだと
納得しますが、周りの目はとても怖いです。
そして、その噂が広まり地獄の学校生活が始まるのでした。

 

どこにも逃げ場がない彼の中の怪獣は
どんどん大きくなっていき。。。

 

大人が考えさせられる絵本

私がこの絵本を読んでとくに考えさせられたのは、、、

 

”自分の子供を愛さない母親なんかいない”
とこうき君に言った小学校の先生の言葉です。

 

続けてこうき君は
「先生は子供を愛せない親がいることを知らないんだ」
と思うのです。

 

これだけ、ネグレクトが問題になっている現代で、
本当に自分の子を愛さない母親がいないのなら、
なぜ痛ましい事件がおきるのか?

 

先生は、頭では、そういう家庭もあるとわかっているのでしょう。

でも、心の底では
「そんな母親は普通じゃない人間」
「普通、母親は自分の子供を愛すものだ」という一般論みたいな偏見があるわけで。

それが
ついポロッとこぼれて、
少数派を排除してしまう。。。

 

↑動物の部屋で寝かされ、動物の餌や糞の匂いがしみついた彼は、臭いといって学校でいじめられる。

 

誰もがもっている偏見と戦うとき

この、ついついやってしまう
悪気のない少数派の否定こそが
悪意のある差別を生むきっかけになっているのではないか。

 

ここまではいいけど、ここからはダメでしょ。

大人は、自分で分別して使い分けているつもりでも、
子供からしたら
「子供を愛さない親はいない」=「そんなやつは普通じゃない」=「普通じゃないからイジメられても仕方ない」
そのように解釈されてしまいかねないのかもしれない。

 

自分は公平な目を持っているつもりだけれど
もしかしたら、自分でも気づいていない「小さな火種」が心の奥に
全く無いとはいいきれないのではないか。。。

 

幼い頃からこびりついた偏見を今一度見直したいとこの本を読んで強く思いました。

 

イジメはイジメられる方にも原因があるってほんと?

たまに「イジメはイジメられた方にも原因がある」とかいう言葉を耳にすることがありますが
イジメは100%イジメる側の問題だと思います。

 

例えばイジメられる側に何か問題点があったとして、
イジメていい理由にはならないからです。

 

泥棒が、泥棒される家に問題があると言ってるようなもんです。
どれだけ泥棒しやすい家だったとしても、泥棒が100%悪いのです。
泥棒する側に問題があるのです。

 

だからこれだけは言いたい。

いじめられたことがあったり、イジメられている子、あなたは悪くないです。
悪いのは100%イジメる側です。
問題を解決すべきはイジメている側の方です。
だから、すぐに相談してください。

 

ブルーから満開のピンクへ

青い絵本のカバーを外すと、そこにはピンクの花が満開に咲いていました。
この絵本を描くにあたって、辛い過去を振り返ることは
とてもしんどい作業だったそうです。

 

それでも、自分の中だけの怪物を
同じ悩みを持つ人にみてもらうことで
なにかの助けになるかもしれない。

 

そう思ってこの絵本を世に出したこと。

この本を読んだ人たちの心もこの表紙みたいに
きれいな花で満開になるといいですね。

May 10, 2021 絵本コラム