【モノを大切に、自分らしく暮らす】木の雛人形・五月人形 [人と木]

手づくり絵本棚 人と木の絵本紹介「つきのぼうや」

[絵本④] 北欧の青が美しい、空と月の神秘を感じる絵本

2015年10月1日(木)

『つきのぼうや』
イブ・スパング・オルセン著
やまのうちきよこ訳
福音館書店(小学校初級むき)

[絵本]つきのぼうや画像1

いよいよ 10 月ですね。
今月ご紹介する絵本は、北欧生まれの絵本「つきのぼうや」です。


残念ながら、中秋の名月は先月で終わってしまいましたが
空気が澄んでいて、月の高さが高すぎず低すぎない秋は
一年のうちでも、月が美しく鑑賞できる季節だそうです。
まだまだ、お月見を楽しめそうですね。


さて、今回ご紹介する絵本『つきのぼうや』は
北欧デンマーク生まれの絵本です。
まず、手に取って驚くのは、とても細長いんです。
計ってみると、横幅は約 12.6cm、そして高さは約 34cm ですから
絵本棚に並べると、他の絵本より飛び出る高さです。
一般的な絵本の高さは 30cm ぐらいですからね。


この本のふしぎなかたちはなぜ?
それは「空の高さ」を表現するためなんです。
地上を明るく照らす、おつきさま。
ある日、地上に見える池の表面に
自分とよく似ているおつきさまが
輝いているのを発見します。

そこでおつきさまは、
「つきのぼうや」(スタッフみたいなものでしょうね)を呼んで
「あの つきを つれてきてくれないか」と頼みます。
つきのぼうやは元気に返事をして
地上に向かって降りて行きます。

[絵本]つきのぼうや画像2

雲を抜け、
飛行機や渡り鳥とニアミスし、
風に飛ばされたりと
まさに大冒険です。
そう、空の高さを表現するために
この本は、こんなに縦長い本になっているわけですね。


[絵本]つきのぼうや画像3

ぼくらが何気なく見上げている空にも
さまざま表情があり
いろいろなものが浮かんだり、
飛んだりしていることを
改めて気づかせてくれます。
空や月、そして海といった、自然が持つ神秘さを
幻想的に感じることができるお話しです。


[絵本]つきのぼうや画像4

青い表紙が素敵ですよね。
北欧らしい色とイラストです。


[絵本]つきのぼうや画像5

こちらは本の見返し(表紙を開いたところ)ですが
ここにも素敵な絵が描いてあります。


以前仕事でデンマークに行ったことがありますが
その時、なんとなく、空気が「青い」感じがしました。
空が青いから、街が青く見えるのか、
不思議に思いましたが、
同行したカメラマンの方も 「写真の色が日本とは違うよ」と言っていました。
写した写真もちょっと日本より青い。 北欧は、「青」が映える国だと、その時思いました。


日本でも「青」にさまざまな種類と表情がありますし、
もしかして、生まれる国によって、
絵本の色合いも違うんだろうなぁと思います。


絵本は生まれた土地でいろんな違いがあります。
お話しの内容やことばの雰囲気はもちろんですが、
絵のタッチや色合いにも故郷の雰囲気が
知らず知らずに表現されているんだと思います。


絵本を通して「遠い国を旅する」。
そんな楽しみ方も、いいかもしれません。
秋の夜長に、さまざまな国の絵本を
楽しんでみませんか?


久保さん

久保浩志(しおまち書房)
1967年広島生まれ。大学時代に出版サークルに入部したことをきっかけに、広告やデザイ ンの世界に興味を持ち、情報出版社と印刷会社に計20年勤務。2013年より制作事務所「しおまち書房」として独立。「えほんマルシェ」のブランドで、中古絵本のセレクト販売も手がける。http://shiomachi.com/

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